福生の下、熊川にまではいかないところ。
家と家にはさまれた記憶の箱。
年を重ねたのはきみではく、
きみに年が重なり、まだ、ぼくらは若いまま。
風邪引くように恋をしつつ
恋をしていない時間を忘れて
東南から北西に吹き抜ける風に
思いだせない胸つまむ感触を
どこかへ求めても見つからない。
この店にたくさん
吊るされつているカレンダーが
かすかに揺れるのを眺めつつ
中華そば並と小ライスの
炭水化物炭水化物のダンスを
夢見ることはわるくない。
それを叶えたとしても
記憶は日日の泡となり消えもするが、
舌に重ねた記憶と内臓はしっかり肥えるのだ。
復活いぬい、ただ、
昭和感がかすかに揺らいで、
復活いぬい、ただ、
ただならぬ昭和のムードは
継承されつつ、
夏はこれからなのに
夏のおわりの淋しさを感じる。
涙に揺れる林、
この日差しにしょっぱい潤いも
乾きもするが、
ここにも宿命のよそよそしさが
静かに地球を運行させる。
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