2014年7月17日木曜日

北西の日向

福生の下、熊川にまではいかないところ。
家と家にはさまれた記憶の箱。
年を重ねたのはきみではく、
きみに年が重なり、まだ、ぼくらは若いまま。
風邪引くように恋をしつつ
恋をしていない時間を忘れて
東南から北西に吹き抜ける風に
思いだせない胸つまむ感触を
どこかへ求めても見つからない。


この店にたくさん
吊るされつているカレンダーが
かすかに揺れるのを眺めつつ
中華そば並と小ライスの
炭水化物炭水化物のダンスを
夢見ることはわるくない。
それを叶えたとしても
記憶は日日の泡となり消えもするが、
舌に重ねた記憶と内臓はしっかり肥えるのだ。


復活いぬい、ただ、
昭和感がかすかに揺らいで、
復活いぬい、ただ、
ただならぬ昭和のムードは
継承されつつ、
夏はこれからなのに
夏のおわりの淋しさを感じる。


涙に揺れる林、
この日差しにしょっぱい潤いも
乾きもするが、
ここにも宿命のよそよそしさが
静かに地球を運行させる。

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