2014年7月11日金曜日

雨とコインランドリー

雨降りは嫌いじゃない、

ってなことを言うと

ロマンチストだねぇとか詩人だねぇとか

雨に打たれてろぉ、

とか関わってくれるだけの

優しいことばを掛けてくれるが、

ここは高速道路。


水しぶきの音にも慣れて

一定の間隔で上り下りするワイパーの音だけが

静けさの雫もぬぐいさっている。


さらに、

雨上がりの空気を吸い込むと

想いもよらぬものが

汚れた空を浄化しているような

気もする。

雨の中を街頭にとまる3羽のカラスや

静かに水辺に着水する鷺の類。

単に、雨があらいながしたとかではなく

雨の粒子が少し変化しているかのような

感覚。まるで、日差しが

雲に圧をかけて生まれた

光の言葉。


こんな日のコインランドリーはむだに

ひとの家と洗剤の匂いで

空気の密度が濃く厚みを帯びて

冷たいところを気流が探す。

蛇が箱のすみづみをさがしまわるように、

猫がとりあえず置かれた場所を確認するように

好み知らぬ空間に放りだされ

嘔吐するひまなどないのだ、

我ら生活臭。

酔った身体が大理石をどこかで求めるように

静かな帳を求めるはひとの性、

いきつくところはすでにここにある。


ドラムが回る音が外の

雨と雨の隙間をより明瞭にして

時折、潜水夫がドラムの窓から手を振る

訳もなくパンツやらタオルやらの絵柄が

交互にやってきたりやってこなかったり。

ブ―ザーとともにドラムの回転がとまると

その部屋にだれもいない。


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